<バレーボール:全日本高校選手権福島大会・相馬3-0湯本>◇26日◇男子決勝◇福島市国体記念体育館

 男子は、相馬が湯本にストレート勝ちし、通算17度目の全国出場を県選手権史上初の5連覇で飾った。震災で家族や自宅を失った選手もいるが、ポジションに縛られない全員バレーでチーム一丸をアピールした。

 被災地・福島の思いを背負って戦った。レフトの佐々木章仁主将(3年)は「通過点です」と優勝インタビューに答えた。第1セットを12-9から13連続得点で先取。第2セット中盤には8連続得点で突き放した。1度もリードを許さない快勝。吉田康宏監督(41)は「福島が大変な状況の中、バレーができることに感謝したい。選手が頑張ってくれた」と振り返った。

 1人だけに頼らず、全ポジションを全員でカバーする“絆バレー”で勝った。レフト対角に、それぞれライトとセンターを置く変則布陣。吉田監督は「アタッカーもトスを上げられる。形にとらわれず、どこからでも打てる」とマジカルバレーを強調する。ユース日本代表候補の左利きライト後藤滉貴(2年)が、ミドルブロッカーの役割もこなし、ジャンプサーブでエースも奪った。

 3・11。リベロ浜名亮(3年)の祖母ヨシさん(享年74)弟東さん(同13)が津波で亡くなった。センター佐藤郁也(3年)レフト雄河(2年)兄弟の自宅は流失。さまざまな思いで1つのボールを追い続ける。東さんも鹿島中バレーボール部員だったことで、浜名は「弟の分も頑張りたい」。佐々木主将は「全国から多くの方に支援していただいた。最後まで負けないで、感謝の気持ちを表現したい」と全国を見据えた。【佐々木雄高】