<高校ラグビー:平工78-10高知中央>◇27日◇1回戦◇花園

 テレビドラマ「スクール・ウォーズ」のモデルになった伏見工山口良治総監督(65)の教え子たちが、指導者として「花園の厳しさ」を味わった。元日本代表ロック大八木淳史氏(47)がGMを務める高知中央(高知)は創部2年目で初出場したが、平工(福島)に10-78と大敗。92年度にFBで全国制覇した薬師寺利弥監督(34)率いる創部3年目の光泉(滋賀)も17-19で国学院栃木(栃木)に惜敗。見守った恩師に勝利を報告することができなかった。

 高知中央の大八木GMの目に涙が浮かんだ。68点差をつけられたが、聖地で2トライを奪った選手が誇らしかった。前半19分に主将のCTB加藤が、相手のファンブルからボールを奪うと45メートルを独走した。高知県勢5年ぶり、チームとしては記念すべき花園初トライ。「技術はまだまだ。でも、選手は精神的に成長してくれた。ラガーになった」と褒めた。

 昨年3月に部を立ち上げた時にGMに就任した。ラグビー部はほかのクラブを退部したり、転校してきた生徒の受け皿となった。主将の加藤もバスケットボール部の特待生として入学したが、練習方針が自分の考えと合わずに退部。途方に暮れていたところを大八木GMに誘われラグビーを始めた。

 「最初の方は遊び半分だった。でも大八木さんの熱意でラグビーの楽しさが分かった」と加藤。3年で主将になり寮では転校してきた生徒たちがなじめるように積極的にコミュニケーションを図った。「ラグビーは楽しいぞって言ってきたかいがあった。ここからがスタートです」と大八木GM。創部2年目で花園の地を踏んだ。来年は1勝を目指す。【奈島宏樹】