<大相撲春場所>◇初日◇15日◇大阪・大阪府立体育会館

 「静岡のホープ」が幕下初白星を挙げた。東幕下58枚目の尾崎海(23=出羽海)が力あふれる相撲で快勝した。鋭い踏み込みで体重262キロ大露羅(おおろら)の懐に潜り込み、114キロの体で真っ向勝負。頭をつけて懸命に押し、左のはずからロシア出身の最重量力士を寄り切った。大きな拍手に包まれ「やる前は人間とやる気がしなかった。初日だけは、と思っていたのでホッとしました」。

 東洋大を出て昨年夏場所初土俵。同名古屋場所で序ノ口優勝するなどし、今場所は初の幕下で迎えた。同郷の元幕内片山と同じ「焼津相撲クラブ」出身。「基礎をしっかり教えてくれるクラブでした」という。6学年上の片山は対戦できないまま、先場所引退した。高々と足を上げるしこで人気だった先輩に負けじと、尾崎海もきれいなしこを踏む。故郷の伝統を受け継ぐ楽しみな力士が現れた。