大相撲名古屋場所(12日初日、愛知県体育館)で24回目の優勝を目指す横綱朝青龍(28=高砂)が4日、前頭5枚目栃ノ心(21)につり出されるという醜態をさらした。春日野部屋での出げいこで24番の申し合いを行って18勝6敗。栃ノ心は母国グルジアで約1カ月間の軍事訓練を行い、1日に再来日したばかりだっただけに、調整不足を露呈する結果となった。名古屋場所出場には意欲を示した朝青龍だが、けいこ後には右脇腹痛を訴えるなど不安材料は尽きない。

 横綱相撲とはほど遠い内容だった。春日野部屋での申し合い16番目。朝青龍は低く当たってきた栃ノ心にあっさりと両まわしを引かれてつられると、足をバタつかせる粘りもむなしく、あっという間に土俵外へと持って行かれた。「ハ~、もう一丁!」。絞り出すような横綱の声が、夏の空に響き渡った。

 この日は、6月29日の名古屋入り後で最多となる24番を取って18勝。だが6敗は栃ノ心、栃煌山といういずれも格下の平幕力士に喫したものだった。朝青龍はけいこ後、慢性化している左ひじ痛、夏場所の日馬富士戦で負った腰痛に加え、新たに右脇腹痛を訴えた。「気になるね。痛みもあるね。先場所(日馬富士戦で負った腰痛の延長)もあるけど。差されると無理できない」。万全ではない体調を説明する言葉が続く。

 相手の栃ノ心は母国グルジアで約1カ月間の軍事訓練を受け、1日に再来日したばかり。現地では「肉ばっかり食っていたから」と再始動時は7キロ増の164キロだった。2日間の朝げいこで「4キロ落ちた」とは言うものの「1カ月もけいこしていなかったから、全部が筋肉痛で痛い。2、3番で息上がるし…」と最悪な状態。そんな相手につり出されていては、右脇腹痛という理由すらむなしい。

 一方でこの日、朝青龍と最多の13番を取った栃煌山は「(右脇腹は)痛そうでしたね。(自分が)体をひねりそうになった時にビクッとなったから…。前(1日)に来た時は『どこも痛くないのかな』と思ったけど」と朝青龍の微妙な変化に気付いた様子だった。

 約1カ月のモンゴル療養から再来日し、出げいこ4日目となってもピリッとしない朝青龍は「自分で気にしている部分もあるけど。まだ完全に治りきってないし、無理してもね」。名古屋場所に関しては「マイペースだからね」と出場には前向きだが、初日まであと1週間。万全で迎えられるかどうか微妙な状況だ。【山田大介】