<大相撲初場所>◇7日目◇16日◇東京・両国国技館

 横綱白鵬(24=宮城野)に30連勝力士の面影はなかった。把瑠都の素早いすくい投げに、あっさりと左手をつく。顔面から落ちる覚悟もなかった。昨年秋場所6日目翔天狼戦以来120日ぶりに味わう黒星。勝利への執念が見えない負け方に「思わず(手が)出た。投げられたくないのかな」と、つぶやいた。

 鋭く踏み込んで左上手をつかみ、右を差した。支度部屋でも繰り返した立ち合いは、いつものように万全だった。「う~ん…。(把瑠都の)タイミングも良かったし、最後ひと呼吸置けば良かった。甘さだな」。座布団の舞う花道では首をひねり、風呂上がりも唇をかみ続けた。

 自己最高33連勝も、朝青龍の35連勝も超えられなかった。「なんと言えばいいか…。こんなもんでしょうね」。俵に打ちつけて左すねを打撲。患部を氷で冷やし、足を引きずりながら引き揚げた。心身ともに痛い10年初黒星。「引きずらなければいいかな」と、吐き出す言葉も力なかった。【近間康隆】