大相撲春場所(3月11日初日、大阪府立体育会館)の担当部長に就いた貴乃花親方(39=元横綱)の積極的なPR活動はまだまだ続く。サッカーJ1G大阪のACL初戦(同6日)かリーグ開幕戦(同10日)に、同親方が本拠地の万博記念競技場で先着1000人に無料ちゃんこをふるまう異例のプランが9日、分かった。また春場所中には会場出口で観戦客を見送る前代未聞の「お見送りプラン」を考えていることも判明した。

 大相撲のファン層拡大を狙う貴乃花親方の目は、サッカーにも向けられた。この日、大阪・吹田市内のG大阪クラブハウスを訪問。親方自身が箇条書きにしたアイデアを、クラブ幹部に手渡した。その中にはG大阪の試合当日に万博記念競技場を訪れ、サポーター先着1000人に無料でちゃんこをふるまうプランも含まれていた。

 候補日はG大阪の今季公式初戦となる6日のACL初戦か、10日の神戸とのリーグ開幕戦。どちらも11日の春場所初日を直前に控えた多忙な時期だが、同親方は「被災地での炊き出しのような感じでできれば」と話し、自らがちゃんこを作る考えという。

 そんな熱意に触れたG大阪の金森喜久男社長は「3月はまだまだ寒いし、ちゃんこはサポーターも喜ぶと思う。親方自らがふるまってくれるのはすごくありがたい。選手に配るのもいいですね」と感謝した。親方には神戸戦での野球の始球式にあたる「キックイン」を依頼し、これも前向きに検討されている。

 さらに同親方は春場所中のファンサービスの一環として、打ち出し後に観戦客を自ら見送るアイデアも持っている。この日会談した前Jリーグチェアマンの鬼武健二氏(現大阪府サッカー協会会長)によれば、親方は「場所が始まったら私は(打ち出し後に)出口にずっと立ってます」と話したという。日本相撲協会の広報部は「親方衆がそういうことをする例はほとんど見たことがない。実現したら素晴らしいことですね」とした。

 貴乃花親方は今月1日の担当部長就任後、2年ぶりの大阪場所を盛り上げようと和装での観戦呼びかけや、吉本新喜劇への出演熱望など、積極的なPR活動を続けている。「汗をかいて足で稼ぐ。歩いて歩いて券売につながれば」。そんな地道な努力は、きっと相撲人気の回復につながっていくはずだ。