昨夏の甲子園準優勝右腕で日本ハムのドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)が、新人合同自主トレ第3クール3日目の18日、千葉・鎌ケ谷の室内練習場でプロ入り後、初ブルペン入りした。 多くの報道陣が見守る中、捕手を立たせ、カーブも交えながら直球主体に23球を投げ込んだ。 本紙評論家の建山義紀氏の評論は以下のとおり。

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甲子園もU18アジア選手権も映像では見ていたが、中堅方向からのカメラとは違い、初めて横から投球をじっくり見させてもらった。

体重移動が非常にうまいなと感じた。最大の特徴は、殿筋(おしり)まわりが発達していて、下半身が安定していること。一本足で立ったときにしっかりと体重が乗り、その右足の粘りで地面を踏ん張って、捕手方向へ押し出すことができている。また左足でその体重を受け止め、支えることもできる。よく投げ終わりのフォームが崩れる投手もいるが、そういった姿はなかった。

土台が安定しているから、しっかり腕を振ることもできる。肩まわりが柔らかく、肘が先行して出てくるから、腕をムチのように使えて、スピンのあるボールが投げられる。だからベース板の上でキレがあり、打者にスピードを感じさせられる。ボールの押し込み方を見ると(楽天)則本投手のようなイメージ。両者とも体が大きい方ではないから、腕の振りだけでいいボールを投げることは難しい。体重移動のうまさが、すばらしいボールを投げられる源になっている。

練習の後、少し話をすることができた。「バランスを気にしながら6割程度の力で投げた」ということだったが、指にかかったボールはさすがの一言。常に注目されていて気が散りそうな環境だが、黙々と淡々と練習をこなしている姿も、投手向きの性格じゃないかと感じた。(日刊スポーツ評論家・侍ジャパン投手コーチ)

ブルペンで投球する日本ハム吉田輝星(撮影・黒川智章)
ブルペンで投球する日本ハム吉田輝星(撮影・黒川智章)