日刊スポーツ評論家の和田一浩氏(46)が注目のゴールデンルーキー、中日ドラフト1位根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)をチェックした。まだまだひ弱さは残るものの、センスの良さは間違いなく一級品だ。

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トス打撃をしている根尾の姿に、思わず見とれてしまった。どこかが特別に「すごい」という部分はないのだが、全身からセンスの良さがあふれていた。少し前まで金属バットを振っていた高卒ルーキーとは思えないような「しなやかさ」を持っていた。

打撃フォームで難しいのが「しなやかさ」を出すこと。バットをしなやかに振るためには、下半身から上半身、そして肘→手首、指といった関節を順序よく使う必要がある。ここがスムーズに流れると、それほど力を入れているように見えなくても鋭いスイングが可能。「硬い」と言われる打者は、この順番がスムーズに流れず、すべての箇所が同時に力が入ってしまうような打ち方になってしまう。

ただ、トス打撃からフリー打撃になると、さすがに力が入ってしまうのだろう。体幹に力があればいいのだが、まだまだひ弱い。トス打撃でぶれなかった軸回転ができず、バットの軌道も乱れていた。右ふくらはぎを肉離れし、十分な練習ができなかった分を差し引いても、まだまだ力強さに欠ける感は否めなかった。

2軍とはいえ、注目度の高さは半端ではない。ペッパーの初球で打ち損じただけでも、スタンドがざわめいていた。決して悪意のあるざわめきではなく、ほほ笑ましいざわめきだったが、キャンプで出遅れた「負い目」もあるだろう。性格が真面目な分、余計な圧力にならなければいいと心配になった。

痛めた右ふくらはぎというのは厄介な場所で、走る以外でも打撃や守備に影響することがある。焦らず、じっくりと一流選手の階段を上ってもらいたい。(日刊スポーツ評論家)