侍ジャパン打線にとっては最高の結果と言っていいだろう。今大会ここまで当たりの出ていなかった山田哲や吉田正にもヒットが出た。全体的に見ても、まんべんなくよく振れていた。一方、投手陣はイニングで区切って投げさせていたため、うまく失点を防げない場面もあった。岸にしても大野雄にしても、レギュラーシーズンであれば、ピンチになったところで回の途中で交代していただろう。

結局、今大会の試合形式に問題があると言わざるをえない。すでに両チームとも決勝進出を決めており、ある意味“消化試合”となってしまっていた。選手は一生懸命プレーしていたのだろうが、試合の雰囲気は「今日勝ってファイナルへ進むんだ」という感じではなかった。私が見た国際大会でここまで緊張感がない試合は初めてだ。これでは選手のケガのリスクが増えるし、決勝に向けた参考にもならない。やはりスーパーラウンドも2つの組に分け、双方の1位同士が最後に戦うような形式にしないとダメだろう。

決勝戦では、ピンチが来たら早め早めの投手交代になるだろう。稲葉監督の投手交代の手腕が試される。先発の山口に硬くなるなというのは難しいだろうが、東京ドームのマウンドには慣れているわけだから、立ち上がりに気を付けてまずは1回りをしっかり抑えてほしい。打線も早い回に点を取って投手陣を楽に投げさせられれば、久しぶりの世界一が見えてくる。(日刊スポーツ評論家)

韓国に勝ち笑顔でナインを出迎える稲葉監督(左から3人目)(撮影・垰建太)
韓国に勝ち笑顔でナインを出迎える稲葉監督(左から3人目)(撮影・垰建太)