巨人岡本の3回の本塁打で試合は決まった。ああいう打ち方ができるようになると、4番として貫禄がでてくる。相手にとってもぬぐえないショックを与えた3ランとなり、まさに試合を決めた一打と言えた。

2ストライクと追い込まれた状況で、完全に泳がされていた。それでも、踏ん張ってバットを上から下へ落としていくようにスイングして、ここで捉えれば飛ぶというポイントでミートしていた。バットの重みで、トップの位置からインパクトまでバットを出す。そして、ボールの軌道に合わせつつ、ボールの下にバットを出す。だからこそ、あの角度で打球が上がり、3ランになった。

確かに風もあったとは思う。ファウルにならずによくフェアゾーンに入った。しかし、あそこまで飛んだのは、体の準備が整い、バットの面でボールを待つ動きができていたからだ。80~90%のスピードでスイングすれば、本来のフィニッシュはできるもの。それを、体勢を崩されることを前提に、50~60%くらいのスピードでスイングしながら、ミートポイントで捉えられれば、この試合の岡本のバッティングができる。

あの場面で、内容ある一打が出れば、チームの信頼は一層厚くなる。そして、岡本は成功体験として体で覚えるため、引き出しが増え、今後もさまざまなケースで対応できるようになる。

チームは連敗中で、2回には3連打しながら先制機を逸した。試合の流れを感じた中での3ランは、大きな仕事だった。しっかりした形でスイングしないと打てない、そういうことでは巨人の4番は務まらない。相手も崩そうとして研究してくる。岡本はこれからもさらに厳しく攻められるだろうが、この1本を大きな自信にしてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)

3回表巨人1死二、三塁、岡本(中央)は左越え3点本塁打を放ち、スキップしながらガッツポーズ(撮影・たえ見朱実)
3回表巨人1死二、三塁、岡本(中央)は左越え3点本塁打を放ち、スキップしながらガッツポーズ(撮影・たえ見朱実)