阪神は見事な交流戦6連勝締めだった。この日の6得点は全て2死無走者から。しぶとく塁に出た中野、近本、梅野が盗塁を決めて好機を広げ、ここぞの適時打や本塁打で得点した。実に粘り強い攻撃で、絡めた機動力が際立った。中でも交流戦の貯金4をもたらしたMVPは中野だろう。リーグ戦は5盗塁だったが、糸原離脱中の交流戦で8個決め、近本も抜いてリーグトップに立った。この日の3回のように初球から走る思い切りの良さもあり、14回企図して失敗は1回だけ。3割近い打率で打って走れる近本との1、2番が相手投手を苦しめた。

もちろん西勇や秋山、青柳ら先発陣の頑張りも大きい。18試合中、延べ10人が6回以上、自責3以下のクオリティースタート。5回2/3で自責3以内も4人いた。救援陣の負担は他球団に比べて少なく、先発が頑張っている間に得点して主導権を握る試合が多かった。この日のガンケルも、切れ込むカットボールと逃げるツーシームを効果的に配し、強打の楽天打線を圧倒していた。35日ぶりの1軍登板を考慮して、6回3安打2失点で代えたのだろうが、勝ち投手に等しい内容だった。

あえて注文を出すとすれば藤浪だろうか。8回先頭の鈴木大に浴びた同点ソロは細心の注意が必要だった。悪い球ではないが、コースは鈴木大の好きな内角高め。先発は6回3失点でいいが、リリーフの1失点は重みが違う。現状は離脱した岩崎に代わる応急措置で「8回の男」を立派に務めている。技術うんぬんではなく、1イニングだけ集中して投げ切れることが良い結果を生んでいる。だが、岩崎復帰後はどうか。私としては、1年間戦う中心的存在の開幕投手を任せたのだから、先発に戻って勝負してほしい。その時は藤浪も、先発で白黒はっきりさせる強い覚悟で勝負してほしい。(日刊スポーツ評論家)