3連覇を狙う巨人は、首位ヤクルトに喫した1敗で厳しい崖っぷちに追い詰められた。

試合は1点差まで詰め寄り、意地を見せた。しかし、打線の状態を見ると、浮上するきっかけさえ感じられない状況に追い込まれている。

1~3番までで12打数5安打。連打は1度だけで、つながりは良くないが、糸口は作っている。しかし、4番岡本和と5番亀井で8打数無安打3三振。これでは大量得点は望めないし、打線の調子も上がってこないだろう。

今季の岡本和は本塁打と打点で2冠のトップ。責めるのは酷だが、現在の状態は悪すぎる。今試合では4打席でファウルが4度あったが、3度は甘い球だった。ファウルの打ち方を見ても、ヒットになりそうな気配はなし。6回1死二塁からの3打席目も、初球のチェンジアップは外寄りの甘い球だったが、打ち損じて中飛。調子のいいときなら左翼から左中間に本塁打できたし、打ち損じたとしてもレフト前には打てる球だった。

不振の要因は、いろいろある。「打ちたい」という気持ちが強すぎるのか、上半身がボールに寄っていってしまっている。これではボールとの距離が取れない。ボールに寄っていってしまうのが、精神的な焦りか、単純に技術的なものなのかは分からないが、本来の打撃が崩れていることだけは間違いない。

5番亀井も、速い真っすぐに対応できなくなっている。亀井の特徴は真っすぐにめっぽう強いとこだが、差し込まれている。3打席目は小川の膝元スライダーに空振り三振し、4打席目はマクガフのスプリットに空振り三振。いずれも速い真っすぐにタイミングを合わせているが、差し込まれないように意識するあまり、変化球に対応する余裕がなくなっている。

岡本和は打順を下げるような打者ではないし、復調を待つしかない。亀井を5番固定で起用しているが、今の状態では厳しいだろう。6番丸の状態も良くないし、現状ではウィーラーか中島を起用した方が打てる可能性は高いと思う。

新外国人打者はすべていなくなった。岡本和以外の若手のスラッガータイプも出てきていない。今試合から阿部2軍監督を1軍作戦コーチとしてベンチに入れたが、プレーするのはあくまでも選手。崖っぷちに追い込まれた選手たちの奮起を見せてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)

ヤクルト対巨人 8回表巨人2死一塁、岡本和(手前)は投手ゴロに倒れ、喜ぶヤクルトベンチを背にがっくり(撮影・浅見桂子)
ヤクルト対巨人 8回表巨人2死一塁、岡本和(手前)は投手ゴロに倒れ、喜ぶヤクルトベンチを背にがっくり(撮影・浅見桂子)