日本ハムの斎藤佑樹投手(33)とは、私が渡米した年に入団したため、入れ替わりになり、一緒にプレーしたことはないが、15年から評論家として見ていると、ケガで苦しんだ現役生活だった印象が強い。投手は打者を抑えるため、いいコースに投げるため、投球フォームを考える。斎藤はそれだけではなく、痛みが出ないためにどう投げるか、違う部分で試行錯誤していた。

引退セレモニーでは「入団した時よりは、少しはましな大人に成長できたんじゃないか」と話していた。確かに入団当初はスター気取りの部分が抜けきらないという話を聞いたこともある。ところが評論家として接し出した15年には、そんなことをみじんも感じさせず、人に対する真摯(しんし)な姿勢が印象的だった。彼みたいな人間性豊かな人物は、必ず球界に恩返ししていかなければならない立場だし、今後はどんな形であれ球界に尽力してほしい。(日刊スポーツ評論家)

登板を終え日本ハム荒木投手コーチと共にベンチに引き上げる斎藤(左)(撮影・佐藤翔太)
登板を終え日本ハム荒木投手コーチと共にベンチに引き上げる斎藤(左)(撮影・佐藤翔太)