阪神が今季2度目の6連敗を喫した。これで1勝15敗1分けとなり、前日13日にプロ野球ワースト記録となっていた勝率6分7厘はさらに悪化し6分3厘に。また、これまで開幕17試合目で2勝のチームは15年オリックスなど延べ7チームあったが、1勝止まりは史上初となった。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(38)が得点力不足に苦しむ打線を解説した。

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中日対阪神 中日に3連敗しロッカールームへ引き揚げる矢野監督(右)(撮影・加藤哉)
中日対阪神 中日に3連敗しロッカールームへ引き揚げる矢野監督(右)(撮影・加藤哉)

タイガース打線は全体的に「仕掛ける」のではなく「仕掛けられている」ように感じました。中日先発はそもそも打ち崩すのが難しい柳。何が何でも崩してやろうと、もっとあの手この手を繰り出しても良かったのではないでしょうか。

ここまで負け続けている状況。格好なんて気にしてはいられません。足の遅い選手でも意表を突いてセーフティーバントを狙ってみる。ファーストストライクを絶対に強振する。追い込まれたらファウルで粘り続ける。必死で揺さぶろうとする姿勢は、投手からすれば嫌なモノです。この日は2番佐藤輝、4番大山の新打順を選択。もちろん対策も練ったのでしょうが、それにしてもただ単に来た球を打たされているケースが多いように映りました。

阪神は12球団を見渡しても注目度が高いチームです。もしかしたら周りの目が気になってしまう選手もいるのかもしれません。「1球でアウトになったら『もっと粘れよ』と言われてしまうのでは…」「負け続けているのに笑っていいのだろうか…」。もしそんな感情が少しでもあるのだとすれば早く取っ払ってほしいと願います。今の阪神は若いチーム。持ち味の「超積極性」と明るさだけは失ってほしくありません。

誰の目にも重苦しいムード。こんな時は雰囲気を一新してくれそうな選手のガツガツ感に頼るのも一手ではないでしょうか。9日の広島戦で551日ぶりの1軍安打を記録した高山にしても、1試合だけでもスタメンで4打席立つ姿を見たいものです。16年新人王は昨季1軍出場ゼロ。どん底からはい上がってきた選手の1球、1打席に懸けるエネルギーが流れを変えてくれるかもしれません。

開幕から1勝15敗1分け。52イニング連続タイムリーなしですか…。もう失うものはありません。「きれいな野球」ではなく「泥臭い野球」で、がむしゃらに現状打破を図ってくれることを願います。(日刊スポーツ評論家)

高山俊(2021年5月29日撮影)
高山俊(2021年5月29日撮影)