阪神はやっとの最下位脱出だった。オリックスはまたもミスにつけ込まれて連敗を止められなかった。
梨田 パ・リーグではあまり“イニングまたぎ”をしないが、阪神はアルカンタラ、岩貞にイニングをまたがせ、伊藤将からのリリーフ陣が最後まで0点に抑えたことが勝機を生んだ。崖っぷちから追いつき、相手のミスといっても珍しい勝ち越し方だった。一方のオリックスはもったいない、きつい負けになってしまった。
同点の延長11回1死一塁。代打ロハスの打席で、二盗を試みた代走熊谷にオリックス伏見の送球が直撃し、そのまま外野を転々としているうちに三塁も回ってホームインした(記録は二盗と伏見の失策)。
梨田 ロハスは期待ができなかったから、藤本三塁コーチの判断も良かったし、三塁止まりというのはあっても、なにより熊谷にホームまで一気に行くという強い気持ちがあったのがナイスランになった。8回も相手の判断ミスがきっかけで同点だからありがたかった。
2点を追う8回、近本の遊安で無死一塁から、佐藤輝のライナー性の打球にライト佐野皓が前に突っ込んでそらす間に1点(記録は三塁打)。大山に対した山本の投球に、伏見が捕逸でまんまと追いついた。
梨田 ライトの佐野皓はイニング、点差など状況を考えれば突っ込むべきでなかった。状況判断ができていなかったと言わざるを得ない。あそこをシングルで止めていれば一、二塁、もしくは一、三塁だから、山本がそのまま抑えていたかもしれなかった。“足”でかき回すことができた阪神にも反省点は見え隠れしている。
5回2死一塁。中野の詰まった中前へのポテン打に、一塁走者・島田はなぜか二塁にとどまった。
梨田 わたしならどやしつけていただろう。一、三塁になれば、作戦的にディレード、ダブルスチールもあるし、ヒットゾーンも広がっている。8回の捕逸で同点になったプレーが示したように三進していれば何が起こるか分からなかった。阪神はカード3戦目を総動員で戦わないといけない。【取材・構成=寺尾博和編集委員】