阪神のサヨナラ勝ちのチャンスが、あっという間につぶれて消えた。延長12回無死一塁から、バント失敗と盗塁死でドローはほぼ決まった。

山田 勝負を決めきれない、どっちも、どっちの一戦になったが、両チームとも勝ちたい気持ちが前面に出過ぎて攻撃にミスが出た。阪神としては延長12回までもつれるゲームではなかった。

2点リードの9回に登場した抑えのケラーが誤算だった。中田、岡本和の連打と若林の中犠飛で1点。その後、2死一、二塁から代打中島に左前適時打を許して同点に追いつかれた。この回集中された4安打はすべてストレートだ。

山田 阪神は完全な勝ちパターンだったからもったいなかった。最近のケラーはストレートで抑える傾向だったから、少し力が入りすぎたとしか考えられない。ただ阪神バッテリーの心理が動いたとすれば、先頭の中田にそのストレートをいい当たりで左前に運ばれたことだろう。先頭打者を出塁させないセオリーに反し、中田にヒットを許したことが集中打につながったといえる。8回に2点をリードした阪神はしてやったりのはずだっただけに想定外だった。

延長10回からの3イニングは、両軍とも必死の継投で踏みとどまった。

山田 最終回の阪神は巨人デラロサを知り尽くしているのだから、じっくりと揺さぶりをかけながら攻めてもよかった。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

阪神対巨人 9回表巨人無死一、三塁、若林の犠飛で重信(左)の生還を許したケラー(撮影・上田博志)
阪神対巨人 9回表巨人無死一、三塁、若林の犠飛で重信(左)の生還を許したケラー(撮影・上田博志)
阪神対巨人 9回表巨人2死一、二塁、中島に同点打を許したケラー(撮影・上田博志)
阪神対巨人 9回表巨人2死一、二塁、中島に同点打を許したケラー(撮影・上田博志)
阪神対巨人 9回、同点打を浴びたケラー(右)は西勇の出迎えを受ける(撮影・上田博志)
阪神対巨人 9回、同点打を浴びたケラー(右)は西勇の出迎えを受ける(撮影・上田博志)