藤浪が甲子園で投げるのは約3カ月ぶりだった。6月3日の日本ハム戦以来のマウンドで勝てなかった。

今岡 藤浪の投球をみたのは久しぶりだったが、がらりとイメージは変わっていた。前は横振りだったフォームが、縦に振ることを意識しているようにみえた。これを仮に打者に置き換えていうと、バットを内から出そうとしても、体が横振りになると、なかなかバットが出てこないことがある感じだろうか。先にリードを許したが、全体的にバランスは悪くなかった。

3回2死二塁。坂本から2ストライクをとった後で2球ボールが続いた。その直後に投じた球速156キロの直球が、詰まりながら二塁手木浪の頭上を越す適時打になった。

今岡 巨人坂本は速い球にタイミングを合わせつつ、低めに変化しても対応できるように待った。基本といえる打撃だが、なかなかできない。あの状況で詰まりながらセカンドの上を越えたのは偶然ではない。藤浪が打たれたのは事実だが坂本のさすがの技術力だった。

5回は吉川の打球を近本が目測を誤って三進を許した(記録は三塁打)。続く大城に左前適時打を許した。6回1死一、三塁、若林の打席では投球が大きくそれて3点目。今季3個目の暴投だが、それが失点になったのは初めてだった。

今岡 「えっ!」という三塁打もあったし、暴投にしても試合の流れに巻き込まれてリズムを崩したようだった。制球を意識しているから縦振りになったのか、縦にしたからコントロールがついてきたのかは、本人の感覚だからわからない。でも自分が取り組んでいることが、少しずつマウンドで合致しているようにはみえた。結果を積み重ねて評価を上げていくしかない。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】

阪神対巨人 3回表巨人2死二塁、藤浪は坂本に右前適時打を許す(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 3回表巨人2死二塁、藤浪は坂本に右前適時打を許す(撮影・加藤哉)