大混戦のパ・リーグは佳境に入っている。首位を走るソフトバンクに、2位西武が肉薄する3連戦だったが連敗。消極的な姿勢が勝敗を分けた。4回表、二塁打の源田を森が犠打で送る。積極的な犠打で1死三塁の形を作ったと感じたが、その後に積極性が見られない。4番山川は三ゴロ。源田がゴロゴーでホームを狙うも余裕で憤死した。

森にバントをさせてまで形を作ったなら、ギャンブルスタートも視野に入れていい場面。ギャンブルスタートでも同じようにアウトだったかもしれない。だが、残り20試合をきっての首位攻防戦。先手を取る重みは誰しもが分かっている。是が非でも先手を取るんだという強い姿勢を打ち出すタイミングに感じた。

4回は2死から柳田、デスパイネに連続四球で中村晃に適時打を許し、5回、7回の失点はいずれも先頭柳町への四球から。8回も四球からダメ押し点を奪われ、試合は決した。逃げの四球は非常に痛かった。

ソフトバンクは試練の11連戦をこれで3勝1敗。西武を2差に追いやり、少しずつ優勝に前進している。そして、この試合でもっとも光ったのは2番手で登板した森唯斗だった。

来季は先発転向の可能性も出始めている。その中で、これまでは抑えとして1イニング限定での登板が多かったが、この試合では3イニングを無失点。抑えでは目いっぱい腕を振っていたが、この日は腕もしっかり振りつつスタミナを考え、バランス良く投げていた。制球も安定しており、3イニング目の球質も良かった。

今後、森が3イニング、もしくはそれ以上のロングリリーフをする可能性も出てきた。投手スタッフには正念場の長期連戦の中、森の新境地ともいえるピッチングは、チームに明るい材料となった。(日刊スポーツ評論家)