9回2死二、三塁。ヤクルト・マクガフに対した阪神佐藤輝はカウント1-2からのスプリットに空振り三振を喫した。

山田 今年は阪神のこのようなゲームをよく見てきた。守りのミスを取り返せない。これではチームは乗っていけない。野球にミスはつきもので、ヤクルトにだってミスがないわけではない。両チームに戦力差があるとは思えない。しかし昨シーズンから見ていると、試合の中で思わず出てしまったミスを「取り返せるヤクルト」「取り返せない阪神」の差が勝敗に表れている。その阪神はヤクルトの捕手、中村に打者心理を見透かされている。

今季26試合目の完封負け。ヤクルト小川を追い込めず、5回以降は毎回走者を出したがホームが遠い。

山田 マクガフをリードした中村だが、佐藤輝には「いつ落とすんだ、いつ落とすんだ」と思っているところを真っすぐで攻められ、最後はふっとスプリットで抜かれた。阪神は玄人好みのリードをするようになった中村に狙い球を絞らせてもらえなかった。阪神が各球団のエース級を打ち崩せないのは、スイングとかフォームが原因ではないだろう。打席での対応力、つまり“読み”がまだまだ浅いのだろう。

今季も注目された藤浪だが、8月27日の中日戦(バンテリンドーム)で連勝したときも、山田氏は「まだ復活とは言えない」と論じてきた。

山田 どうしようもない状況は脱したが、上下のバランスを見ていても、復活というまでには、もう少し時間がかかるだろう。いずれにしても、これでCSの3位争いはまったく分からなくなった。阪神が敗れたことで、巨人は助かったし、広島は「よしっ」という気になったはずだ。ここは最後まで読めない。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

阪神対ヤクルト 26個目の完封負けを喫し、あいさつする、左から小幡、近本、大山、中野、佐藤輝(撮影・清水貴仁)
阪神対ヤクルト 26個目の完封負けを喫し、あいさつする、左から小幡、近本、大山、中野、佐藤輝(撮影・清水貴仁)