2点差に追い上げられた嫌な流れを断ったのは佐藤輝の2ラン、そして藤浪の快投だ。特に藤浪は重圧のかかる場面で、しかも3カ月ぶりのリリーフ登板だったが終始、落ち着き払っていた。登板した5回裏は先頭羽月に四球を出しても慌てる様子がなかった。150キロ台後半の真っすぐを思うようにコントロールできるようになった自信が、表情にもあふれていた。この日はスプリットとのコンビネーションが抜群。さあ逆転するぞと勢いづいていた広島打線を力でねじ伏せて、6回表の佐藤輝の1発を呼び込んだともいえる。

縦振りになったフォームの安定が、制球力アップの要因だろう。得意なのはスライダーやカットボールだが、横に滑らそう、曲げようとするほど、腕が横振りになってコントロールが難しくなる。でも軸の変化球を縦に落とすスプリットやフォークにすることで、自然と腕も縦振りになる。8月初旬に1軍の先発に戻ってから、このスタイルを継続し、課題だった抜け球も減らしている。この日は短いイニング勝負もあってか、スライダーやカットボールを使わず、縦変化で押し切った。意図的に横の変化球を減らすことで、安定した投球につながっている。

もう1つも落とせない大事な局面で、ベンチも才木のデキを考えて早め早めの積極継投に出た。ジョーカー役の藤浪を中心に良いリレーで勝ち切った。ただし、2年連続開幕投手も務めた藤浪は本来、こういうところで投げる投手ではない。年間を通して先発で投げてほしいし、それだけのポテンシャルがある投手だ。

いずれにしても逆転3位の可能性がある残り3試合は、救援でこの日のように流れを断つ役割が期待される。打者を圧倒できる爆発力があるから流れを変えられる。CS争いは試合数も多い巨人の優位は変わらない。勝ち続けてプレッシャーをかけ続けるしかない。

広島対阪神 5回裏広島、阪神3番手の藤浪(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 5回裏広島、阪神3番手の藤浪(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 阪神3番手で登板し力投する藤浪(撮影・前田充)
広島対阪神 阪神3番手で登板し力投する藤浪(撮影・前田充)
広島対阪神 5回裏広島、阪神3番手の藤浪(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 5回裏広島、阪神3番手の藤浪(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 6回表阪神無死二塁、佐藤輝は20号右越え2点本塁打を放つ(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 6回表阪神無死二塁、佐藤輝は20号右越え2点本塁打を放つ(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 6回表阪神無死二塁、佐藤輝は20号右越え2点本塁打を放つ(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 6回表阪神無死二塁、佐藤輝は20号右越え2点本塁打を放つ(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 6回表阪神無死二塁、右越え2点本塁打を放ち、矢野監督(右)から虎メダルをかけてもらう佐藤輝(撮影・前田充)
広島対阪神 6回表阪神無死二塁、右越え2点本塁打を放ち、矢野監督(右)から虎メダルをかけてもらう佐藤輝(撮影・前田充)
広島対阪神 6回表阪神無死二塁、右越え2点本塁打を放ち、矢野監督(右)から虎メダルをかけてもらう佐藤輝(中央)(撮影・前田充)
広島対阪神 6回表阪神無死二塁、右越え2点本塁打を放ち、矢野監督(右)から虎メダルをかけてもらう佐藤輝(中央)(撮影・前田充)
広島対阪神 6回表阪神無死二塁、20号右越え2点本塁打を放った佐藤輝(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 6回表阪神無死二塁、20号右越え2点本塁打を放った佐藤輝(撮影・加藤孝規)