侍ジャパンの打線が爆発し、WBC初戦となる中国戦(東京ドーム)に向けた調整を締めくくった。

ここまで不振だった村上宗隆内野手(23=ヤクルト)が4番から6番に打順を下げ、待望の1発を放った。ヌートバー、大谷、吉田のメジャー勢も前日の阪神戦に続いて好調をアピール。日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏はこの日の打線編成から、栗山監督の決意を感じ取った。

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侍ジャパンの“死角”が、またひとつ小さくなった。本番2日前、最後の強化試合で、栗山監督は不振だった「4番・村上」の打順を6番に下げた。ここまで「4番・サード村上」にこだわってきただけに、本戦に入ってよほど打てない限り変えないと思っていたが、4番には吉田を起用。その吉田が本領を発揮し、大量得点に結び付けた。

メジャー組が出場するまで不調な打者が多く、正直心配だった。それでも圧倒的なレベルの違いを証明した大谷を筆頭に、ヌートバーと吉田が加わった打線はガラリ一変。勇気づけられたファンも、多かっただろう。

そこでクローズアップされてしまったのが「3番大谷」の後ろを打つ「4番村上」の不振だった。6日の阪神戦で大谷は2死一、二塁から2本塁打したが、あまりにも衝撃的な2本塁打だっただけに「同じ状況でも本番では勝負してくれないのではないか」と思えるほどだった。

もちろん、村上の実力は今更説明する必要はないだろうが、経験値という点ではまだ若さがある。短期決戦ではね返せる可能性はあるものの、現時点での状態でチームの命運を背負わせるのはあまりにも荷が重いと思っていた。

吉田を4番に起用すると、1番から4番まで左打者が続く。唯一、ヌートバーの対応力は分からないが、近藤、大谷、吉田は左腕を苦にするタイプではない。大谷の前後を打つ近藤も吉田も選球眼がよく、ミート力も抜群。村上が本調子なら問題ないが、大谷の“超人力”を最大限に生かすためには、ベストな並びだろう。

6番に下がった村上は、第1打席で見事なホームラン。しかしその後に3打席連続三振を喫したように、まだまだ復調したとはいえない。近藤にしても吉田にしても好不調の波は少ないタイプで、今の状態なら極端に打てなくなることは考えにくい。

今回のメンバーは明らかに「打力優先」を考えた攻撃的な編成。防御面は圧倒的な投手力でカバーし、守備力と機動力を重視してはいない。それならば打者の好不調を見極め、打順やスタメンの起用は臨機応変に考え、監督の責任で最強打線を考える方がいい。「打って勝つ」という栗山監督の決意の表れだと思う。(日刊スポーツ評論家)

侍ジャパン対オリックス 1回裏侍ジャパン2死一、二塁、左中間へ本塁打を放った村上(左)を出迎える栗山監督(撮影・上田博志)
侍ジャパン対オリックス 1回裏侍ジャパン2死一、二塁、左中間へ本塁打を放った村上(左)を出迎える栗山監督(撮影・上田博志)
侍ジャパン対オリックス 1回裏侍ジャパン2死一、二塁、3点本塁打を放ち、ペッパーミルパフォーマンスを決める村上(撮影・狩俣裕三)
侍ジャパン対オリックス 1回裏侍ジャパン2死一、二塁、3点本塁打を放ち、ペッパーミルパフォーマンスを決める村上(撮影・狩俣裕三)