阪神が投打でメモリアルな活躍が目立ち、3位広島に完封勝ちした。右肋骨(ろっこつ)骨折で離脱した近本光司外野手(28)の代役として「1番中堅」に入った島田海吏外野手(27)が1回、右翼にプロ初本塁打となる先頭打者アーチ。先発の大竹耕太郎投手(28)は今季7勝目をプロ初の完封勝利で飾った。阪神OBで日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(39)は島田に「岡田阪神」1番打者の適性があると力説した。【聞き手=佐井陽介】

  ◇  ◇  ◇

代えの効かない近本選手が離脱して2試合目。この日「代役1番」を任された島田選手の先頭打者弾は相当にチームを勢いづけたでしょうね。しかもプロ6年目で初アーチ。昨夜大敗していたタイガースにとって、これ以上ないカンフル剤となったはずです。

島田選手は直球系に強い打者です。1打席目は1ボール1ストライクからの3球目、広島森下投手の内角高め144キロ直球をコンパクトに引っ張って、右翼ポールに直撃させました。多くの打者は森下投手と対戦する時、緩いカーブも頭に入れているが故に直球に差されるケースも目立ちました。その点、島田選手は数少ない対戦回数であっさり反応してしまうのだから、強い直球にも苦手意識はないのでしょう。

ただ、個人的に島田選手の1番の強みは粘っこさだと考えます。直球に強く、一方でチェンジアップなどの緩急にも泳ぎながらカットできる。投手目線で言えば、いつのまにかフルカウントまで持っていかれて、球数を投げさせられるイメージの打者です。この日も3回に先頭で簡単に四球をもぎ取り、2点目のホームを踏んでいます。相手投手からすれば、非常に面倒な打者の1人なのです。

岡田監督率いる今年の阪神打線は、四球を絡めながら得点を重ねていくスタイルを採っています。下位打線から好機を拡大していく流れを踏まえれば、粘り強くつなぎの役割を全うできる島田選手は近本選手不在の今、岡田阪神の1番打者にもっともマッチする存在の1人。またとないチャンスで持ち味を存分に発揮してほしいものです。(日刊スポーツ評論家)

広島対阪神 プロ初本塁打を放ち、記念球を手にする阪神島田(撮影・藤尾明華)
広島対阪神 プロ初本塁打を放ち、記念球を手にする阪神島田(撮影・藤尾明華)