日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(42)が、東京ドームで3連戦を戦っている巨人と阪神のスター候補生3人を分析した。第3回は高卒2年目で早くもクリーンアップを経験した阪神前川右京外野手(20)。左の有望株スラッガーにも特筆すべき長所があると解説した。【聞き手=佐井陽介】


最後に阪神高卒2年目の20歳前川選手にも触れたいと思います。現在は体調不良で2軍調整中ですが、こちらも今季早くもクリーンアップを経験したスラッガー。彼の1番の長所は「詰まらされることを怖がらない」スタイルです。これは非常に貴重な特長です。

前川選手は、ボールを打ちに行く際に胸を投手に見せるタイミングがとても遅い打者です。右肩がなかなか開かず、体が三塁側を向いている時間が長いので、たとえ詰まらされたとしてもボールを押し込める時間が長くなります。打者は詰まらされず気持ち良くカンと打ちたくなると、どうしても上半身が早く回転してしまって、投手に胸が見えるタイミングも早くなってしまいがちです。前川選手の場合、あの若さでそれがない。だからポイントを手前まで近づけて打てるし、力強くボールを押し込める。詰まらされても外野の前まで持っていける。詰まらされることを怖がらないし、ストレートに振り負けない。それは打者として大きな強みだと言えます。

それに報道などで見聞きする限り、まだ20歳だというのに「自分はバットスイングから形を作る」といった風に自分の練習方法まで身につけられているようです。自分でいろんなことを考えて練習している選手だと感じますし、自分で自分のことをきっちり把握できている点も強みの1つ。いろんなことにチャレンジしながらも自分の強みだけは絶対になくさないようにして、その中で確率と精度を高めていってもらいたいものです。(日刊スポーツ評論家)