現役時代は阪神一筋22年、4番や代打の神様で活躍した日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏(54)が試合をチェック。劇的なサヨナラ勝ちの背景に外国人のミエセスらも体現した「つなぎの野球」があると分析しました。【聞き手=松井清員】

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今年の阪神の強さを象徴する「つなぎの野球」を体現した試合でした。10回は2死無走者から近本がヒットで出塁。中日バッテリーは足を警戒せざるを得ず、集中力を分散させた上で、今度は中野と森下がしっかり連続四球を選んでさらに重圧をかけました。四球は球数を投げさせてダメージを負わせるので、ヒット以上の価値を生む時があります。最高の形で一番勝負強い4番の大山に回すことができ、球数を要した田島の33球目をとらえました。

阪神の390四球は、2番目に多いヤクルトに47個差をつけてリーグ断トツ。チームとしても111試合で、昨年全体の358個を軽く超えています。この日も4得点のうち、3点が四球がらみでした。4回の一時勝ち越しも先頭大山の四球から。特に象徴的だったのは1点を追う7回、同点に追いつくきっかけをつくった先頭のミエセスです。

岡田監督が代打糸原の代打で勝負をかけた場面。ミエセスは打ちたかったと思います。シーズン終盤、控えの立場的にも助っ人は打ってアピールしたい。でもフルカウントまで持ち込み、最後も振りたくなるような内角の変化球をしっかり見極めました。岡田監督が重視する四球が外国人にも浸透している。ベンチも盛り上がり、次の打者にもいい影響をもたらせます。

投手陣も「つなぎの野球」を体現しました。西勇が招いたピンチは桐敷が、加治屋が招いたピンチは島本が断った。ともに気迫が前面に出た会心の投球でした。今は負け展開、勝ち展開関係なく、誰が行ってもいいぐらい充実しているし、層の厚さを感じさせます。

優勝マジックは消えることはあっても増えることはない。良い意味で選手の励みになっていると思います。2位以下もつぶしあっている。岡田監督が「普通にやればいいんや」と言っているように、つなぎの野球を続けていくだけです。

阪神対中日 7回裏阪神無死、代打糸原の代打ミエセスは四球を選ぶ。投手は斉藤(撮影・加藤哉)
阪神対中日 7回裏阪神無死、代打糸原の代打ミエセスは四球を選ぶ。投手は斉藤(撮影・加藤哉)
阪神対中日 試合前、阪神ミエセス(右から2人目)のズボンを限界まで上げる佐藤輝(右)、中野(左手前)ら(撮影・前岡正明)
阪神対中日 試合前、阪神ミエセス(右から2人目)のズボンを限界まで上げる佐藤輝(右)、中野(左手前)ら(撮影・前岡正明)