オリックス山本由伸投手(25)は6回まで109球を投げ終えた時点で代えられても仕方がなかった。次の7回は連打と犠飛で1点を返される。それでもベンチは腰を上げようとはしなかった。
それは中嶋監督の山本に対するメッセージだったに違いなかった。危なっかしいと思ってはいても、エースを途中で代えるわけにはいかない。それが監督の本音だったはずだ。
それほど山本の投球内容は珍しかった。レギュラーシーズンでも4失点は最多、2ケタの被安打も1試合しかない。立ち上がりもうまいはずなのに、1回に3点は予測できなかった。
高めに制球がばらついたが、ネット裏からみていても球質が悪いとは思わなかった。大事な短期決戦の“開幕”を任された責任感からいろいろ考えただろうし、精神的な要因が影響したとみていた。
大黒柱がこれだけやられると、チームは焦ってもおかしくない。特に同点に追いついた後、6回にロッテに1点をリードされたのはいやな感じだったが、見事にひっくり返し、突き放すことができた。
打つほうはビハインドの展開になっても慌てることなく、冷静に、逆方向を狙った攻めでつないでいったのが結果に表れた。劣勢をはね返したのは打線の踏ん張り、チーム力がついた証拠といえる。
そして、中嶋監督が山本を続投させた裏には、まだこの戦いは続くのだからという気持ちも込められたはずだ。再び日本一の頂点に上り詰めるまで、あと3試合は登板の可能性が残されているからだ。
もっともCS初戦は山本を入れて3人までのピッチャーで収めたかった。ベンチにはその“したたかさ”も見え隠れしている。これで圧倒的に優位に立ったオリックスは、第2戦からまったく違った戦いを見せるだろう。(日刊スポーツ評論家)




