アドバンテージを含めると、すでに2勝しているオリックス。圧倒的に優位な立場なのは分かるが、少し余裕がありすぎるような戦いぶりで黒星を喫した。明らかに普段の短期決戦の戦い方とは違っていた。

先発した田嶋は、初回こそ硬くなっていたが、2回以降は持ち直し、5回を1失点に抑えていた。この時点で球数は62球。球数的にはまだ余裕はあるが、1軍での実戦マウンドは9月30日以来。硬くなった立ち上がりを見ても、疲労感は普段の先発より感じていただろう。どこで継投をするかがポイントになると思っていた。

6回表、簡単に2死を取ったが、石川慎に四球を与えた。一発を警戒するのは分かるが、次打者は4番のポランコだけにやってはいけない四球になる。そしてポランコにも、四球を与えてしまった。やってはいけない四球を連続して与え、ここで継投でよかった。

しかし続く岡、その次の安田にも投げさせて連打を浴び、アッという間に逆転。田嶋という投手は、左打者の内角を攻められないため、被打率は左打者の方が相性が悪い(左打者2割4分8厘、右打者2割2分4厘)。連続四球の後でなくても、せめて安田を迎えた時点でリリーフを送るべきだった。

再逆転した9回も、不安はあった。リードはたったの1点。シーズン終盤で山岡は抑えをやって3セーブを挙げているが、10月9日のソフトバンク戦では1回1失点。連投を避けてベンチを外れた平野佳や、この日登板のなかった山崎颯の方が抑えの実績は上だろう。山岡を投げさせるなら、試運転を兼ねて1度、もう少し余裕のある場面で試してからでよかった。

攻撃を見ても雑だった。逆転された直後の6回裏、先頭打者の紅林が四球で出塁したが、ゴンザレスをそのまま打たせてレフトフライ。ゴンザレスは左打席は1割9分6厘で代打を出してもいいし、犠打も1度成功させている。福田、広岡も連続三振。何も動かずに無得点に終わった。外野守備も初回と6回には打者走者を二塁へ進めてしまうなど、ミスがあった。

投手の駒不足のロッテに対し、オリックスの強力投手陣は健在。まだまだ絶対優位の立場は変わらないが、勝負事はわずかな隙から崩れるケースがある。特に波に乗ったときのロッテは強い。20日の一戦が注目される。(日刊スポーツ評論家)

オリックス対ロッテ 6回表、マウンドで平井正史投手コーチ(右)と話をするオリックス先発の田嶋(中央)(撮影・狩俣裕三)
オリックス対ロッテ 6回表、マウンドで平井正史投手コーチ(右)と話をするオリックス先発の田嶋(中央)(撮影・狩俣裕三)
オリックス対ロッテ 6回表を終え、ベンチでぼうぜんとする田嶋(撮影・狩俣裕三)
オリックス対ロッテ 6回表を終え、ベンチでぼうぜんとする田嶋(撮影・狩俣裕三)