アジアの野球界で、日本の最大のライバル国といえば真っ先に韓国の名前が挙がるだろう。若手主体で挑む大会とはいえ、どういう戦いになるかは興味深いところ。今後の両国の野球がどういう方向で進化していくのか? そういう視点で見ていた。

試合は2-1で接戦だが、明らかに日本チームの方がレベルが上だった。ではなぜ、接戦になってしまったのか? そこに日本チームの課題があり、国際大会の怖さがあった。

最初に課題から挙げてみたい。初回1死満塁のチャンスで、佐藤輝が簡単に3球三振した。コースは外角のストライクゾーンからボールゾーンに曲がったが、高さは低めに大きく外れていた。2ストライクというカウントを考えれば、振ってくれればラッキーという思いで、ボールゾーンで空振り三振を狙ってくる場面。韓国バッテリーの思惑通りに三振し、楽にさせてしまった。

野球の強豪国として世界に認識されている日本に対し、対戦するチームは好投手を用意してくる。そういう投手に対して連打、連打で得点するのは難しい。日本も今年のWBC優勝を見ても分かるように、ホームランや長打を絡めて得点を奪うパワー野球にシフトチェンジして成功した。しかし犠牲フライや内野ゴロの間に1点を奪えるようなチャンスには、結果を度外視してもなんとか食らいつき、バットに当てるようなスイングが必要になる。

国際大会では、機動力を駆使したスモールベースボールの実践が難しい。初回無死一塁から岡林が盗塁を狙ったが、リプレー検証の結果、セーフ判定が覆ってアウトになった。個人的にタイミングは完全にセーフだった。こう言っては申し訳ないが、ライバル国の審判は強い日本に勝ってほしくないという思いがあると思う。そしてボークの規定も日本以外は曖昧で、簡単に盗塁できない。長打での得点狙いは大正解だが、それ以外でも犠牲フライを狙える打撃技術や逆方向狙いで簡単に空振りしない技術を備えた選手の育成が大事だと思う。

すでに日本の投手力は世界でトップレベル。あとは国際大会での怖さを認識し、パワー負けしない選手で得点力を上げる。簡単ではないが、今試合を見ても日本の若手選手のレベルはアジアでは頭ひとつ抜けている。侍ジャパンの底上げをして、世界一を連覇できるようなチームを作ってほしい。(日刊スポーツ評論家)