阪神が甲子園100周年を祝う3連戦の初戦に完勝した。今季2度目の5連勝で首位巨人とのゲーム差を2・5に縮めた。5番大山悠輔内野手(29)が3ラン、3番森下翔太外野手(23)がソロを放ち、先発の才木浩人投手(25)が7回途中1失点で9勝目を手にした一戦。虎OBで日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(40)は「陰のMVP」に2番手・桐敷拓馬投手(25)の名前をあげた。【聞き手=佐井陽介】

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阪神完勝の「陰のMVP」は2番手・桐敷投手ではないでしょうか。4点リードながら7回1死満塁の大ピンチで投入され、1番丸選手を一ゴロ、代打坂本選手を見逃し三振。一ゴロの間に1点を失ったものの、完璧な投球内容で巨人の反撃ムードを完全に食い止めました。

あの場面、もし巨人打線に畳みかけられていたら一気に暗雲が垂れこめるところでした。この回は先発才木投手が先頭に四球を与え、次打者の三ゴロを佐藤輝選手が失策。さらに四球で無死満塁とされた後、なんとか三振を奪ったところでバトンを託されました。このしびれる場面で打者2人に7球を投げ、少しでも甘く入るボールが1球もなかったから恐れ入りました。

桐敷投手はおそらく佐藤輝選手が失策した直後、1番丸選手での出番をイメージして準備を本格化させたのでしょう。丸選手には1ボールから低めいっぱいの2球で追い込んだ後、内角低めの150キロ直球で詰まらせて一ゴロ。坂本選手にも膝元より浮くボールはゼロで、フォーク、フォークから外角低め直球で見逃し三振。桐敷投手の7球連続失投ゼロが勝利を決定づけたように感じました。

それにしても、桐敷投手の左打者への内角直球には目を見張るものがありますね。左打者の外角低めに投げ込める左投手は少なくありませんが、内角いっぱいに直球とツーシームを力強く制球できる投手は、プロ野球界全体を見渡してもそう多くはいません。

この日の7球はすべて指にかかり、しっかり腕を振って投げられたボールでした。「間違い」を起こさない技術と度胸の持ち主。今後も接戦が続くであろう勝負の夏場、キーマンとなり得る存在です。(日刊スポーツ評論家)

阪神対巨人 7回表巨人2死一、三塁、代打坂本は三振に倒れる。投手桐敷(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 7回表巨人2死一、三塁、代打坂本は三振に倒れる。投手桐敷(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 ヒーローインタビューを終えお立ち台でガッツポーズする、左から阪神桐敷、才木、大山(撮影・前田充)
阪神対巨人 ヒーローインタビューを終えお立ち台でガッツポーズする、左から阪神桐敷、才木、大山(撮影・前田充)