野球ファンにとって月曜は特別な日。先週を振り返って、今週に思いをはせる。識者に回顧と展望を聞いた。セ・リーグ編は小谷正勝氏(80=日刊スポーツ客員評論家)。
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巨人阿部監督は、20日ヤクルト戦のサヨナラ負け直後「いい1週間だった」と言った。6連戦を4勝2敗、特に優勝を争うであろうDeNA戦の2勝1敗に手応えを感じたと思う。
15日は1-0。16日は5-0。球界で最高峰の相手打線を封じた。井上、山崎の先発は素晴らしかったが、私は甲斐に着目した。彼は勝負の局面でバクチが打てる。中日時代の谷繁元信に似た、今のセ・リーグにいないタイプの捕手だ。
甲斐は、データの使い方をよく理解している。どんな大投手でも、状態や調子によって投げるボールは完全に再現できない。打者の状態も日々、変わっている。データは「変数×変数」の結果。感性を働かせアレンジを加えていく点に、野球の面白さがある。
例えばDeNA戦の甲斐は、フルカウントからワンバウンドになるフォークボールを要求し、面白いように振らせた。投手のボールのキレと相手のスイングを洞察した上で、フルカウントでのセオリーにない「くそボール」のサインを果敢に出した。
データを生かすには記憶力が大事だ。過去の対戦は、どんな攻防だったか? 詰まっていたのか、芯を食っていたのか。打球方向と軌道は? 投手も打者も、結果は覚えている。駆け引きが生じ、裏をかければ勝負に勝てる。移籍まもなく肌感覚が不足している甲斐は、直感と洞察力が抜けている。ペナント争いの主導権を握れた点で、この3連戦は意味があった。
3戦目に先発した田中将大についても触れておきたい。体力が落ち、体が思うように動かないことは気づいているはず。思い切ってイメージを変えることも必要だ。晩年のグレッグ・マダックスが参考になる。
基本である外角低めの直球をまきエサとし、打者の反応を見ながら自分でサインを出し、徹底的にシンカーを沈め、打ち気を逆手に取った。力みが原因の逆球を修正し、相手の裏をかき続ける…甲斐との協業ならモデルチェンジは可能だ。
負けて雄弁の阿部監督が、田中将がKOされた試合後は会見を拒否した。井上や山崎が菅野の穴を埋めるとして、井上や山崎の穴を埋める存在が出てこなければ、連覇はできない。(日刊スポーツ客員評論家)




