23年に2度目の右肘手術を受けたドジャース大谷翔平投手(30)が16日のパドレス戦(ドジャースタジアム)で、663日ぶりにマウンドに上がった。「1番投手」でスタメン出場。大歓声に包まれながら先発マウンドに上がり、1回を打者5人に28球、2安打1失点、最速161キロをマークした。誰もが待ち望んでいた投打二刀流の復活。日刊スポーツ評論家の佐々木主浩氏(57)が、大谷の復活登板を分析した。
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ドジャース大谷は、663日ぶりの登板だったが、まずは試合で投げられたことが良かった。実戦形式での練習は3度のライブBPのみで、右肘の手術後で怖さがある中、いきなり160キロを超えて、これだけの出力が出ていることは本当にすごいのひと言。手術前とスピードが大きく変わらなかったことは本人もホッとしただろうし、周囲の人も同じ気持ちだろう。
投球を細かく見れば、スイーパーが相変わらず良かった。球速は140キロ台でコントロールもできていたし、腕が振れていて、体に巻き付いて投げられている。いい投げ方だが、体に負担がかかるボールなので、故障につながらないかが唯一の心配。慎重にリハビリを進めたとはいえ、試合となれば練習と違った力みも入るし、出力も大きく上がるので注意してほしい。
真っすぐを引っかける場面が見られたが、これは試合を重ねていけば修正できる。先頭のタティスの初球がシュート回転したので、外角にしっかり投げようと思って、リリースポイントが一塁側に少しずれたように見えた。ここまで球数を投げておらず、小手先で修正するのは難しい。試合で投げていけば、リリースポイントの感覚もつかめてくる。
実戦から遠ざかった不安な点が表れたのは、一塁へのベースカバーだった。1回1死一塁、シーツの一、二塁間へのゴロを一塁手のフリーマンが飛び付いたが捕れず、二塁のエドマンが捕球。本来なら投手の大谷がベースカバーに入るところだが、動きが遅れ、フリーマンが戻った。投手にすれば条件反射的なものだが、カバーが遅れたのは唯一の反省点である。
今日は、走者がいない場面ではノーワインドアップで投げていたが、投球フォームのバランス的には、セットポジションでの投球の方がバランスは良く見えた。まだ1試合で大谷自身がいろいろ試してる中だと思うし、これから自分の形を作っていくのだろう。
ライブBPのみでの復帰登板は極めてレアなケースで、相当難しかったはずだ。普通ならマイナーでのリハビリ登板を経て、メジャー登板に移るが、大谷は中心打者なのでチームを離れるわけにはいかない。日本のようにマイナーのチームが近くになく、昼にマイナーで投げて、夜にメジャーに戻ることは無理なので、二刀流の大谷ならではの復帰プランだと言える。
今後は急ぎすぎず、徐々に球数を増やしていってほしい。今日は28球だったので、10球ずつくらい増やしていき、通常の先発に戻るには5~6試合くらいはかけていいだろう。投げる筋力はまだ戻っていないし、長い期間投げていなかったにもかかわらず、出力がMAXで出ていたので、慎重に進めていくべきである。(日刊スポーツ評論家)
◆スイーパーとスライダー スタットキャスト(MLB公式データ)で元々はスライダーとして統一表記されていたが、23年から横の変化が大きいものをスイーパーとして区別するようになった。「ベースを掃く(スイープ)」という意味。




