阪神がDeNAを相手に今季21度目の完封勝ちを飾った。初回は相手内野陣の拙守から5番大山悠輔内野手(30)が先制打。1点リードの6回1死では4番佐藤輝明内野手(26)が右翼席に26号右越えソロを運び、DeNAを突き放した。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(44)は天敵の左腕ケイを打ち崩すまでの過程に注目した。【聞き手=佐井陽介】
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佐藤輝選手の特大アーチは見事でした。1-0のまま迎えた6回、DeNAケイ投手の甘く入った初球148キロを右越えソロ。浜風に勝利した1発で試合の流れを決定づけました。ただ、個人的に注目したいのは、この1発が生まれるまでの過程です。ケイ投手が佐藤輝選手に被弾したボールは99球目。阪神打線がコツコツと球数を投げさせ、ケイ投手のいら立ちを誘い、少しずつ球威をそいだ結果だと感じたのです。
ケイ投手は阪神打線にとって天敵とも表現できる相手です。今季は試合前の時点で4試合27イニングを戦い、わずか1得点しか奪えていません。そんな左腕に対してこの日、打線は束になってかかりました。ケイ投手と対戦した打者24人のうち、3球以内に決着がついたのは6人だけ。3人が9球、2人が7球を投げさせています。際どいボールを懸命にこらえ、難しいボールはファウルで逃げる。各選手が粘り続けた結果、6回で111球も投げさせて降板に追い込みました。
3回は1死から2番中野選手が7球目で四球をゲット。1死一塁から3番森下選手は9球目で四球を奪っています。5回は先頭の8番高寺選手がフルカウントから3球ファウルで粘った末、9球目に二ゴロ。いずれの回も得点には結びつきませんでしたが、ケイ投手にじわじわとダメージを与えたのは間違いありません。特に高寺選手は後半戦開幕ゲームでスタメンに抜てきされ、期するものもあったでしょう。結果は凡退とはいえ、5回先頭の二ゴロには価値がありました。
シーズンも終盤に入れば、追いかけるライバル球団は必ず阪神打線が苦手とする投手をぶつけてきます。そう考えれば、今回ケイ投手の攻略法に変化をつけられた事実は、先々を見すえた上で非常に大きいと感じます。(日刊スポーツ評論家)




