日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(44)が交流戦開幕を翌日に控えた25日、「阪神打線とDH制」について独自の見解を紹介した。各チームは交流戦でDH制ゲームを9試合戦う。鳥谷氏は主力勢の打力に信頼を寄せた上で、先々を見すえたDH制の有効活用を期待した。
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阪神は交流戦でDH制をどのように活用すべきなのでしょうか。個人的には主力勢の疲労を軽減するために利用すればいいのではないかと考えます。
近本選手が左手首の骨折で離脱しているとはいえ、阪神のレギュラー陣は強力です。ドラフト1位の立石選手が早くも飛び抜けた実力を披露していることで、現時点で佐藤選手、森下選手、大山選手、中野選手、立石選手の5人が別格のスターティングメンバーと考えられます。このメンバーよりも打力で上回る選手は現状、1人もいません。つまり、阪神はDH制で極端に打線を強化する必要がないチームということです。
数年前であれば、「代打の切り札」だった原口選手(現野球評論家)など、DH制があればいきなりクリーンアップで起用できる選手もいました。でも現在、守備力の関係でリーグ戦ではスタメンで使えないけれど、DH起用すれば中心打者の1人として期待できる、といった選手はなかなか見当たりません。
高寺選手を中堅スタメンと考えた場合、DH制を使って増やせる野手の候補は嶋村選手、福島選手、ディベイニー選手、岡城選手といったところでしょうか。2軍にも前川選手や糸原選手、井坪選手らが控えていますが、いずれにしても主力勢を押しのけて中軸を任される可能性は極めて低くなります。彼らは上位を打つとしても1番、基本は6~9番。だからこそ、DH制を主力勢の疲労軽減に活用してほしいのです。
開幕からの2カ月間を振り返ると、大山選手は試合中の負傷が影響して数試合の欠場を余儀なくされています。中野選手も負傷を考慮されてのベンチスタートがありました。森下選手はリーグ最多の5死球を受けていますし、佐藤選手も疲労はたまっているはずです。特に立石選手はまだプロ1年目で、右ハムストリングの筋損傷から復帰して間もない身でもあります。もちろん守備からリズムを作りたい選手もいるでしょうが、彼らを移動日ゲームなどのタイミングで順番にDH起用していけば、それだけでも体の負担は大きく減らせます。
この5選手は守備力の高さにも定評がありますが、守備力だけでいえば彼らと同等、もしくはそれ以上の選手はいます。たとえば佐藤輝選手をDH起用した試合で三塁に熊谷選手を入れれば、チーム全体としては守備力をアップさせられます。森下選手をDH起用しても、佐藤選手を右翼、立石選手を三塁に回して左翼で若手選手を使えば事足ります。ほかにも前川選手を一塁で使ってみるなど、今後を見すえて守備力を確認しておくこともできます。
DH起用される選手はシビアに打力をチェックされます。「DHなのに打っていない」という目で見られると、走攻守の総合力で勝負するタイプの選手は大変です。それならば、彼らを守らせて主力をDH起用して「打てなかったけれど守備で貢献して主力を休ませてくれた」とする方が、久々に先発する選手も楽なはずです。
優勝に向けて1年間戦う中で、主力勢の疲労軽減は非常に大事なポイントです。特に不動のレギュラーが多い阪神の場合、疲労からくる不調、負傷が主力に発生すれば一大事です。だからこそ、阪神はDH制を他球団とは違った形で有効活用してもいいのではないでしょうか。レギュラーを休ませる。次世代を試す。守備力を確認する。打力に優れた今のタイガースであれば、そんな風にDH制を活用しても問題ないはずです。(日刊スポーツ評論家)




