ソフトバンクが1発攻勢で試合を決めるのだが、「良く打つな」「当たっているな」というフンワリした理由ではない。私は捕手経験者として、こんなスイングされたら、バッテリーはイヤだなとつくづく感じる。
ファーストストライクからフルスイングしていた。私は解説をする時に、ファーストストライクから振るかどうかは、ひとつのチェックポイントとして注視している。ただ、このチームのスイングはちょっと別次元のフェーズと言える。
わかりやすく言えば、積極的に振ろう、コンパクトなスイング、あるいは逆方向へなど、いくつかのバリエーションがある。その中でソフトバンクは根本的に、空振りになろうが、ファウルになろうが、そのスイングの強度はバッテリーに恐怖心を植え付けるくらい強力だ。
近藤が逆転2ラン、野村が中押し、ダメ押しの2打席連発を放つが、これは偶然ではない。必然による1発にしか見えない。それだけのスイングを見せられると、まず捕手は「これはコースを間違えると持っていかれるな」と慎重にならざるを得ない。
そうなると、より丁寧に、コースをしっかり突いてとなる。安易にカウントを取りに行けなくなり、当然の帰結として球数は増える。ヤクルト山野は6回途中で111球。いかに強振することの効用が、相手バッテリーにダメージとなるか、ということだ。
その背景にあるのは、全般的にパ・リーグはセ・リーグに対して先入観を持たずに挑んでくる。「どんなもんかな」くらいの気持ちで打席に入るし、投手は打者を迎える。受け身の要素がない。フラットな気持ちで臨めるのだ。
片やセ・リーグは「油断できないぞ」と、初手から受け身をベースに、警戒しての勝負となる。これだけ交流戦でリーグ間の勝敗差が出ており、対戦する前から飲んでかかるパ・リーグと、やや気後れしているセ・リーグと総括できる。
12日の試合でヤクルトは先勝も、前田純からは3安打と攻略したとは言えなかった。この日の前田悠にも抑えられた。両投手とも真っすぐと落ちる球での組み立てで、それが海野の基本パターン。その術中にヤクルト打線ははまっていた。
対応を修正する、柔軟な準備をする、そうした余裕が見えないくらい、両者には開きがある。(日刊スポーツ評論家)




