交流戦の本拠地試合が持ち回りとなり、広島がメットライフドームを訪れるのは2年ぶり。自然に囲まれた球場は蒸し暑いが、すがすがしい気持ちになる。メットライフドームからほど近い東大和市出身の菊池涼介内野手(27)も、懐かしさを持って球場に入っていた。野球少年だった菊池にとって、ここは特別な球場だ。

 「500円くらいだったかな。お小遣いで券を買って、あのへんから見てた」

 指さした先は、バックスクリーン左の芝生席。熱心な西武ファンというわけではなかったが、目を輝かせてプロ野球を見ていたという。さらには近くであった野球教室にも参加したことがあり「西武のOBの方とか、広瀬(哲朗)さんに教えてもらったこともあったね」と笑った。

 なかでも特別な思い出が、99年の球宴だ。「あそこで見てた」と今度指さしたのは左中間スタンド。「センターの松井さんが近くてさ。松井、近い! でかい!って思ってた」。中越え本塁打でMVPを獲得した松井秀喜氏の姿を思い出す。「笑顔」がモットーの菊池。スーパープレーと楽しそうな姿を目に焼き付けた少年も、きっといるだろう。【広島担当=池本泰尚】