「育成」と「補強」は相反する言葉のようにとらえる人は多い。阪神はロジャースを緊急補強したが、当然、これによって、出場機会が減る選手が発生する。原口や中谷が該当し、若手の育成が頓挫するのではないか、と心配するファンもいるだろう。しかしレギュラーは勝ち取るもので、与えられるものではない。いくら若手育成に力を注ぐといっても、温室栽培では何年も継続して結果を残す選手は育たない。金本監督は今回の補強に関して、こう話している。「原口や中谷、北條あたりが2割8分から3割、10本くらい打っていたら、現場もフロントも外国人を取ろうとはしていないわけだから」。

 ロジャース獲得は攻撃力アップの狙いが主だが、チーム内の競争を活性化させる側面もある。球団首脳は「新外国人が入っても、若手が出られないわけではない。そこはあくまで競争」と話す。6日のDeNA戦では中谷と原口の連続アーチで試合をひっくり返した。危機感が原動力になった部分は少なからず、あるだろう。若手が助っ人に打ち勝って、レギュラーを奪い取れば、育成につながる補強になる。【阪神担当=田口真一郎】