先日、取材で東北学院大を訪れた。泉キャンパスにある野球部グラウンド。仙台駅からは、車で約40分の距離にある。OBの楽天岸は、同級生らと草野球を楽しんだ。童心に帰ったかのように、無邪気な笑顔でグラウンドを駆け回った。「あんなに笑うんだよね」と優しい表情で見つめるのは、恩師の菅井徳雄監督。「昔に比べて、よく笑うようになったよ。地元に帰ってきたということもあるのかな」と教え子の姿に視線を送っていた。

 岸と同級生たちによる草野球は、今年で7回目になる。東日本大震災が起きた11年から、継続的に行われている。「被災した仲間やその家族もいる。みんなの近況確認の意味もあるし、久しぶりに集まりたい。それに、みんなで楽しく野球したい」(関係者)という理由から始まった。

 岸は西武からFA移籍し、地元・仙台の楽天に加入した。移籍1年目の今季は26戦8勝10敗。本拠地Koboパーク宮城では、12試合で1勝だった。「いろんなプレッシャーは、正直あった」。短い言葉の中に、周囲の期待と闘ってきたことを感じさせた。草野球は、2時間ほどで終わった。岸は「面白かった」と、いつも以上の笑顔で汗を拭った。毎年ここで英気を養い、翌年への活力としている。【楽天担当=栗田尚樹】