広島に赴任して3カ月近く。初のセ・リーグ担当とあり、ファーム本拠地も初めて訪れる場所がある。広島の由宇球場は、周りの自然の豊かさに驚いた。そして先日、中日のナゴヤ球場へ。ここが「10・8決戦」の舞台かとテレビを見ていたことを思い出した。

 広島にとってウエスタン・リーグの開幕戦。先発高橋昂に続く2番手が、ドラフト3位新人のケムナ・ブラッド誠投手(22=日本文理大)だった。先頭を打ち取ったのは良かったが、三ツ俣に初被弾。次の石岡も三塁打に失策で生還を許した。1回2失点のほろ苦い公式戦デビューだった。

 父が米国人のハーフ。明るい性格の右腕だが「最初からうまくいくとは思っていない。点数をつけるなら0点」とさすがに落ち込んでいた。今は対打者というより、自分のことで精いっぱいといった感じだ。

 それでも下半身をより重視するようになったからか、フォームにしなやかさが出てきた。球速は140キロ台後半をマーク。球に力強さがあったように思う。球団が育成型で指名した大卒ルーキー。期待通りに成長すれば、意外と早く1軍デビューが訪れるかもしれない。【広島担当=大池和幸】