プロ野球が初めてeスポーツに携わった「eBASEBALLパワプロ・プロリーグ2018」の「eドラフト会議」が9月29日、都内のホテルで行われた。
野球界では無名でも、ゲーム界では大変な有名人が指名された。ゲーム「スプラトゥーン2」の世界王者メンバーで、プロゲーマーのたいじ(27=本名非公表)。巨人に2巡目で指名された。
ゲーム界で注目を集める有名人は、伝統の巨人から指名を受けた。実は北海道で過ごした子供のころから巨人ファン。「長嶋巨人が好きで見ていた」。相思相愛の巨人入りとなった。
今年春に米国ロサンゼルスで「スプラトゥーン2」の世界大会E3で優勝した。パワプロは小学校時代にNINTENDO64でプレーしていたが、しばらく離れており、偶然に3カ月前から再開したばかりだった。「ちょっと受けてみようかな」という軽い気持ちでオンライン選考会に臨んだ。「通ると思わなかった」が通過すると、オフライン選考会前は1日10時間ほど練習。見事にドラフトまで進んだ。
たいじは、プロゲーマーだ。以前は会社員としてサービス業に従事していたが、昨年からサイバーゼットCyberZ(サイバーゼット)からスポサードを受け、ゲーム専業となった。既婚者だが「生活は余裕でできます」という年収があるという。
違うゲームでなぜ、上位になれるのか。反射神経は「普通」だという。手先は「めっちゃ器用」で学生時代にペン回しが得意だったという。実際の野球は高校の途中まで部活でプレーし、中学時代は捕手でキャプテンを務めていた腕前だ。「楽しいゲームをやることが成長につながる」という。現在は午前中にパワプロ、夕方から深夜にスプラトゥーン2をプレーしている。「操作感はやればやるほどうまくなる」。練習量も、一定のレベルまでは大事な要素だ。
いくつか理由を挙げてもらったが、どうもしっくりいかず、何度も尋ねた。ようやく、ふに落ちたのは「ゲームシステムを理解するのは大事」という言葉だった。つまり、ゲームの作り手側の考えを想像することが、上達の鍵を握るということだ。
東日本選考会を取材した際、多くの選手が、楽天則本昂大らが有する「球持ち○」という特殊能力が非常に勝敗を左右すると、口をそろえていた。だが、その後のアップデートによって、たいじは「ナイスピッチ以外は打ちやすくなった」と感じている。ゲームのシステムが変化していると察知しているのだ。俯瞰(ふかん)するような能力は、どんなゲームにも応用できるのだろう。
たいじは「別ゲームで優勝はなかなかない。出る試合は全勝で、当然日本一を目指したい」と意気込む。巨人では「スライダーが曲がるし、能力が安定している。コントロールとスタミナもある」という菅野智之の能力に注目している。開幕は11月10日。ゲーム界の二刀流なるか。【斎藤直樹】





