ソフトバンク武田翔太投手(25)が来春、大竹耕太郎投手(23)とともに自主トレを行う。オフも福岡・筑後市のファーム施設でトレーニングを一緒に行い、ゴルフの練習や食事もともにするなど意気投合している。

3月の時点では2人の関係がこうなるとは、まったく想像がつかなかった。1軍の遠征を外れ、残留調整をしている武田を筑後室内練習場に取材に行った時だった。3軍は休みなのに、ネットスローを黙々と続ける大竹がいた。遠くで顔が分からなかったため、その奥でのトレーニングを終えて戻ってきた武田に「あの選手誰?」と尋ねると「新人ですかね。育成かな…。まだ覚えられない」と答えが返ってきた。無理もない。ソフトバンクには約90人の選手がいて、育成契約選手は25人前後いる。キャンプ中も1軍の先発の柱と育成ドラフト4位ルーキーでは、接点はほとんどなかった。

武田が不振で7月19日に2軍降格。その時、3軍からはい上がってきた大竹と2軍で出会った。2人とも久保2軍コーチの指導がピタリとはまった。後半戦は2人とも1軍で活躍。下克上日本一へ大きく貢献した。

三笠球団統括本部本部長は武田について「彼は群れない」と話す。自分の時間を大事にするタイプだ。だが、済々黌高(熊本)、早大と歩んできた2つ年下の理論派の大竹とはウマがあったようだ。投げる理論、フォームの考え方、練習への取り組みなど意見を交換する姿は秋季キャンプでも何度も見られた。

武田が2軍落ちしなかったら、2人はここまで近づいていないかもしれない。大竹は育成時代の400万円から3・75倍の1500万円で契約更改した。巨大戦力の中で、来季もこういう新たな出会い、ドラマがあることを期待したい。【ソフトバンク担当 石橋隆雄】