「桃の節句」にベテラン左腕に大きな光明が差した。左肩痛のため昨シーズンは1軍登板がなかったソフトバンク和田が3日、約10カ月ぶりに捕手を座らせて投球練習を行った。

福岡・筑後市のファーム施設。2軍戦のためビジターの阪神が室内練習場で打撃練習を行っている時だった。和田がブルペンで黙々と腕を振った。打球音に混じって乾いたミットの音が響いてくる。50球のうち最後の10球。和田は捕手を座らせた。内角へ5球。外角へ5球。それぞれしっかりと低めへ直球を滑らせた。

「抜群でした。ずっと低めに投げる練習をしてきたので、(捕手が)中腰のときよりも、めちゃめちゃいい球がいっていました」。笑顔で自画自賛した。春の宮崎キャンプではB組スタート。焦りを抑えるように黙々と汗を流した。9度のブルペン入りで捕手を座らせることはなかったが、しっかりと低めへのコントロールを意識して計565球を投げ込んだ。

「下半身は問題なく使えている。体の違和感はないし、感じはいいです」。オフから慎重に取り組んできた「復活」へのプロセスは最終段階に入りつつある。和田自身がその手応えをしっかりつかんだようだ。今後は週2回のペースでブルペン入りし、捕手を座らせての投球数も増やしていく予定だ。

前日2日は早めに練習を切り上げ、ヤフオクドームに駆けつけた。後輩・摂津の引退セレモニーを目に焼き付けた。「摂津も指導者として戻ってきたいと言っていたし、僕もまた一緒にやりたい」。もちろん、和田はマウンドに立ち続けるつもりだ。「そうなると、どんな関係になるんでしょうね。ハハハ」。満面の笑みで話す和田に「復活」への自信を感じ取った。【ソフトバンク担当 佐竹英治】