30日、オリックス戦で吉田正シフトをする日本ハム守備陣 
30日、オリックス戦で吉田正シフトをする日本ハム守備陣 

日本ハム栗山英樹監督(57)は「常識を疑え」と言う。「そうしないと新しいものは生まれない」という信念がある。昨季はリーグ3位に終わった。同じ野球では頂点を目指せないというところから、今季のチーム作りは始まっている。

日本ハムの19年の戦い方の特徴として、大胆な守備シフトを敷く場面が挙げられる。三塁手が左翼へ行ったり、二塁後方へ移動するなど。極端な守備隊形を敷くと、スタンドもざわつく。ただ、栗山監督に言わせれば「誰が各ポジションの定位置を決めたんだ」。メジャーではよく見られる光景だが、蓄積された各打者の打球方向のデータからアウトを奪いやすいポジション取りをしているだけ。定位置に縛られない守備隊形は、まさに、常識を疑え、なのだ。

4月4日楽天戦(楽天生命パーク)では先発の加藤を3回無失点で降板。4回からバーベイトを投入して、こちらは3回1失点。2人で6回1失点と試合を作ることに成功した。投手は打者との対戦回数が増えていくごとに打たれる確率も大きくなる。先発は5回までは投げなければいけないという常識にとらわれなければ、柔軟な投手起用で失点を最小限に食い止めることもできる-。試合こそ敗れたが、可能性を示せた試合でもあった。

栗山監督は「常識は確率」とも言った。過去の実績から浮き上がる、さまざまなデータは揺るがない事実の積み重ねだ。そこには、常識だと思っていたことが非常識に変わり、思わぬ新常識が生まれていることもある。「勝つために、もっとシンプルに、原理原則に立ち返らないといけない。もっと何かやれるはずだと思っている」。日々、新たな実績を加味して“常識”は更新されている。「そういうことを選手に言っている以上、あまり無難にいきすぎるというのはメッセージが伝わらない」。シーズンを通して、どんな野球を展開していくのか。目が離せない。【日本ハム担当 木下大輔】

日本ハム栗山監督
日本ハム栗山監督