V逸の地・仙台からソフトバンクが福岡に戻ったら、秋晴れの空が広がっていた。傷心を癒やすように、ほおをなでる風が心地いい。この日、野手陣は移動休日。先発組の千賀、和田、バンデンハークが本拠地ヤフオクドームで練習に汗を流した。眠い目をこすり早朝便で戻った工藤監督も投手練習に姿を見せていた。
V奪回の夢はもう「過去」となった。やるせない気持ちは大いに残るが、次なる目標は「3年連続日本一」である。CS制度があるだけに「敗者」は「勝者」となる可能性がある。昨年は西武を倒し、シリーズ進出。セ王者の広島を撃破して頂点に上り詰めた。2年連続の「下克上」を果たしたチームはいない。ホークスは心身ともに切り替えられるだろうか。
外野を走るバンデンハークの姿を見ながら、20年前の「9・25」に思いをはせた。王ダイエー5年目のこの日、世界の王がドームで宙を舞った。ホークス福岡移転初V。南海時代から含めても26年ぶりのリーグ制覇だった。守護神ペドラザが最後の打者を三振に切るとマウンドにナインが駆け寄り歓喜の輪ができた。鼻っ柱の強い城島もベンチで号泣していた。感動の中心には背番号「47」の工藤監督もいた。
V奪還ならなかった福岡移転30周年のメモリアルイヤー。CSに向けて「闘志」をさらに搭載し直すとともに、V逸の「過去」も検証しなければならない。未曽有の故障禍に悩まされながら若手の台頭もあった。だが、シーズンを通してチームを悩ませた故障者続出の原因は何だったのか。戦術は? 起用法は…? 西武は浅村、菊池の投打2枚看板がいなくなっても連覇した。反省なくしてさらなる成長はない。目指すV3日本一の陰にこっそりと隠れてしまってはいけない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】





