ガッツの遺伝子が覚醒した。中日石川駿内野手(29)は5年目の今季、ウエスタン・リーグでは打率3割1分7厘、出塁率3割6分8厘で2冠。1軍昇格後の9月25日、本拠地最終戦のヤクルト戦では、7回2死満塁で代打で登場。右中間にプロ入り初となる三塁打で走者を一掃した。
試合後、石川駿の携帯電話にメールが届いた。「手首は大丈夫だったか。1本出て良かったな」。小笠原道大2軍監督(当時)からだった。同監督は今季限りで中日を退団。今秋から日本ハムで1軍ヘッドコーチ兼打撃コーチとして指導を始めている。
今年の沖縄・春季キャンプで石川駿は北谷の1軍メンバーに抜てきされた。しかし結果を残せず、キャンプ途中に読谷の2軍キャンプ行きに。意を決して、読谷球場の監督室を訪ねた。「1から教えて下さい。きついこともやります」。頭を下げると、すぐに小笠原道場は始まった。
シーズンが始まっても道場は続いた。試合前のシートノックの空き時間にも室内練習場で打撃指導を受けた。時に指揮官は昼食の時間を削って、付き合ってくれた。「野球の技術をたくさん教えてもらったが、継続の重要性が一番。2軍での首位打者争いで、調子を落としたときもヒントをいただいた」。首位打者2度、本塁打王&打点王1度の実績を誇る小笠原2軍監督の叱咤(しった)激励が石川駿を2軍タイトル獲得に導いた。
1軍全日程が終わった後に別れの電話を入れた。「もっと教えたいことはあったが、何とか最低限、勝負できるようにできた」と、教え子に合格点を与えたという。今夏、指揮官は日に焼けた顔で指導哲学を話してくれた。「選手の良さをどんどん伸ばしたい。そこにプラスアルファを補えれば、もっと1軍に近づく。レギュラーを取ったら、12球団でも名前が挙がる選手になって欲しい。そういう思いでいつもやっている」。師匠に再会するのは、交流戦か。石川駿がバージョンアップした姿を見せられる日が楽しみだ。【中日担当 伊東大介】






