<オープン戦:中日2-6阪神>◇22日◇沖縄・北谷

想像してみると、和気あいあいとしたベンチの様子が目に浮かんだ。

22日に北谷公園野球場で行われた中日対阪神のオープン戦。阪神坂本誠志郎捕手(26)が2回に先制の2ランを放った。ベンチは笑顔で祝福と思いきや…。ハイタッチを求める坂本をチームメートはそしらぬ顔でスルー。大リーグでも行われている儀式「サイレント・トリートメント」だった。

「全然分かりませんでした。初めてでもないのに…」と坂本が話すように、多くの場合は新人選手など、初めて本塁打を打った選手に行われるもの。なんと今回の“首謀者”は…。「帰ったら清水さん(ヘッドコーチ)にどう思った? って聞かれて。矢野監督が『どうする? やる?』って言ってたみたいです」。矢野燿大監督(51)だった。確かにベンチに並ぶ選手はハイタッチに行くのか、行かないのか、少し迷っているようにも見えた。

坂本はそのまま黙って後ろにはけるか、それとも派手に盛り上げるか迷ったというが、とっさに後者を選択。全く予期せぬ祝福にも、派手なガッツポーズを決めて反応を求めるなど盛り上げた。「しけちゃうと面白くないし、テレビに映るように目立とうと。そういうのを見て面白く思ってもらえたらいいし、盛り上がるのが一番なので良かったです」。矢野監督の“いたずら”と坂本の機転が生んだ楽しい瞬間だった。【阪神担当=磯綾乃】

先制の2点本塁打を放った坂本はナインにサイレントトリートメントで迎えられる(撮影・前田充)
先制の2点本塁打を放った坂本はナインにサイレントトリートメントで迎えられる(撮影・前田充)