新型コロナウイルスにのみ込まれてしまったプロ野球の「開幕」だが、ホークスにとって「3・20」は忘れられない記憶がある。
もう四半世紀も前の出来事になる。95年のこの日、列島を震撼(しんかん)させた「地下鉄サリン事件」が起きた。狂信的な教団の引き起こした大惨事に首都・東京は大混乱した。王ダイエー1年目の春のことだった。王監督が就任してオープン戦初の関東遠征。翌21日は長嶋巨人との東上初対決だった。東京ドームは厳戒態勢となった。王監督も球場入りの際はボディーチェックを受けるものものしさだった。注目の「ON対決」も話題をさらわれた。1月には阪神・淡路大震災も起きており、天災と凶悪な組織犯罪に球春は翻弄(ほんろう)された。
ソフトバンクが誕生した05年のシーズン直前の「3・20」は文字通り、大揺れとなった。地元・福岡市で最大震度6弱を記録する「福岡県西方沖地震」が発生した。開幕こそ無事にスタートを切ったものの、福岡市では観測以来、最大の地震だった。
そして今回の「開幕延期」である。未知の病原体に列島のみならず、世界も揺れている。苦くつらい記憶となるだろうが、どれも風化させるわけにはいかない出来事である。
早期終息を願いながらも、置き去りにされているファンへの配慮も必要だろう。ソフトバンクグループの経営理念は「情報革命で人々を幸せに」だ。チーム調整に励みつつ「開幕」を待ちわびているファンに球団として何かできないものだろうか。ふと、そんなことを思った。【ソフトバンク担当 佐竹英治】




