ソフトバンクがシリーズ2連勝で地元福岡に戻ってきた。過去のデータでは、シリーズ△○○を含む2連勝発進ならばV確率は76%。数字からすれば、ホークスの絶対的有利となったが、何が起こるかわからないのが短期決戦。工藤監督含め、首脳陣も油断は見せない。データは「過去」で「未来」を保証するものはない。現にダイエー時代の00年の「ON対決」は、敵地・東京ドームで2連勝しながら、その後に4連敗。巨人長嶋監督が高々と宙に舞う姿を、王監督(現球団会長)も悔しさを持って見つめた。

敗戦の理由にはしたくないが、大きなケチがついた。本来の日本シリーズ日程中にダイエー側は福岡ドーム(現ペイペイドーム)の貸し出しを行っており、変則日程を余儀なくされた。3年ほど前からの貸し館契約らしく、変更は不可能。敵地・東京ドームで2連戦の後、移動日なしで福岡ドームで第3戦。中2日空いて第4、5戦を行い、再び移動日なしで東京ドームで第6戦が行われた。地元福岡で全敗。連勝の勢いも吹き飛んでしまった。

2000年の日本シリーズ第6戦。劣勢にベンチ内でうつむき、考え込む王貞治監督(00年10月28日撮影)
2000年の日本シリーズ第6戦。劣勢にベンチ内でうつむき、考え込む王貞治監督(00年10月28日撮影)

福岡の街では、世紀の決戦に「ONになればOFF」になるとしゃれたコピーでバーゲン宣伝が行われていたが、気分は半減。ダイエーには後日、NPBから制裁金3000万円が科せられた。いやな過去は思い出す必要もないが、同シリーズで巨人の開幕投手を務めたのは工藤監督だった。城島、松中に本塁打を許すなど、7回3失点投球。勝ち星を手にすることはできなかったが、古巣を倒してチームは頂点に立った。

立場は変わって、今度は巨人を追い込んだ。20年前の「教訓」は、しっかり脳裏に焼き付いているはずだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】