西武の南郷キャンプ4日目、獅子のかかし「かかしし」が2年ぶりに姿を現した。辻発彦監督(62)の早朝ランニングコースにある、畑に囲まれた道ばた。東を向いて堂々と立つ、2体の西武ユニホームを着たかかし、2年ぶりの出現なのだが、辻監督の“オファー”だった。「かかしがなくなっていたからね。(地主の)おばちゃんに会って『去年なかったから優勝できなかった。今年はかかし立ててください』って言ったら、翌々日くらいに立ててくれた。ありがたい」とうれしそうに話した。

例年、春季キャンプの時期になると、この場所に登場し、朝から走る辻監督を見守ってきた。しかし昨年の春季キャンプには“不在”で「なくなっちゃったなあ」と寂しそうにしていた。すると3連覇のかかったシーズンは、ソフトバンクの独走を許したまま2位争いこそ演じたが3位で終えた。その悔しさをぬぐい去るため、苦しい練習を重ねる今キャンプ。厄を落とし、願を掛ける中で、かかししにも祈願した。

そんな辻監督の思いに応えようと、球団サイドも新たにユニホームを新調するため、2着をおばあちゃんに贈呈した。第2クールには、装い新しくなったかかししが、バットまで携えてバージョンアップ。そもそも、62歳にして約5キロのコースを毎日走るその体力に、脱帽。「無理しないように走ってる。なかなかやせないけどね。抑えようと思っても食べちゃうから。いろいろ気を使ってはいるけどね」。健康と優勝を願って、今日も走る。【西武担当=栗田成芳】

第2クールには球団が贈ったユニホームを着て新調した案山獅子
第2クールには球団が贈ったユニホームを着て新調した案山獅子
19年2月、早朝ランニングで道ばたにある西武ユニホームを着たかかしと写る辻監督
19年2月、早朝ランニングで道ばたにある西武ユニホームを着たかかしと写る辻監督