<日本生命セ・パ交流戦:阪神3-8ソフトバンク>◇6日◇甲子園

4勝目を手にしたソフトバンク和田にとって思い出の地・甲子園は雪辱のマウンドだったろう。3勝目を挙げた5月23日のオリックス戦は6回1/3、92球の1失点投球。交流戦前最後のリーグ戦を白星で飾った。チームは交流戦でさらに勢いを増したかったはずだ。だが、セ界戦がスタートすると勢いが消えた。

交流戦開幕カードの中日3連戦(バンテリンドーム)。和田に登板はなかったが、初戦(25日)の夕方に福岡から新幹線に揺られ名古屋に入った。先発投手は登板後2日目が休日だがチーム合流した。中日戦は2敗1分け。スタートにつまずいた。本拠地ペイペイドームに戻っての巨人3連戦は連勝。3戦目に和田は先発マウンドに上がった。結果は岡本和に1発を献上するなど5回3失点で黒星を喫した。日本シリーズ2年連続4連勝など対巨人の連勝も「14」でストップ。チームの流れを切る投球に悔しさは募ったはずだ。

「とにかくチームが勝つ投球ができれば」。自らの数字よりもチーム勝利を優先する不惑の左腕は雪辱を誓ったはずだ。シーズン通して先発ローテを守り切れば必ずチームの勝ち星につながる。和田にとって自らの数字よりチーム必勝の投球が優先事項。14年ぶりの登板となった聖地でサウスポーは答えを出した。

最終7回のマウンド。中野に投じた109球目は144キロの直球だった。今季の最速は146キロ。球速で勝負する投手ではないが「何とか147キロを出したいんですけどね」とまだまだ自らの可能性にチャレンジする気持ちは忘れない。「あの坂を見たら、血湧き肉躍るんですよ」。1月の長崎自主トレ。球場近くにあった長い坂道を見つけると宝物でも発見したように笑った。ひそかに狙う5年ぶりの「完投」の宿題は残った。だが、まだまだ老け込むつもりはない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】