西武内海哲也投手(39)が、10日のDeNA戦で今季初勝利を挙げた数日後だった。旧知の球団関係者は、自分のことのようにうれしそうだった。「本当に良かったですね。ファームの関係者全員が、応援していたと思います」。2軍で好調をキープしながら、今季初昇格は6月3日の巨人戦。先が見えず、不安や焦りがある中でも早朝から汗を流し、変わらない姿をスタッフは見ていた。

ふと、2年前の同関係者の言葉を思い出した。19年のシーズンオフ。当時、記者は巨人担当で、話題は自然と内海の話へ移った。「ライオンズは若い選手が多いですが、若手にとって、最高のお手本だと思います。ジャイアンツのエースで活躍した人が、誰よりも早く球場に来て、黙々と練習する。その姿を見るだけでも勉強になるし、自分たちはもっとと思って、練習にも一生懸命取り組む」。

野手では「ミスターライオンズ」の栗山、中村が最高のお手本で存在するが、投手陣は涌井(ロッテ→楽天)、岸(楽天)、野上(巨人)、牧田(パドレス→楽天)ら中心選手がFAで移籍。2度の最多勝などプロ18年目の内海の経験、技術や言葉は若手の成長には大きく影響し、同関係者は「目標とすべき存在がチームにいることは、非常に大きいです」と話した。

東京ドームでは移籍後初登板だった3日の巨人戦。敵味方関係なく、降り注いだ大きな拍手がファンや仲間から愛され、尊敬されている証しだった。【遊軍=久保賢吾】