粋な演出がLビジョンに映し出された。「父の日」翌日の6月20日、メットライフドームでのロッテ11回戦試合前練習。西武の外国人5選手へのサプライズビデオレターだった。渡辺久信GMや辻発彦監督、選手からは高橋光成投手、栗山巧外野手らが家族と離ればなれで戦う5選手を激励。さらに、次々と米国で暮らす家族が登場し「愛」を届けた。

リード・ギャレット投手には、夫人と1歳の長男が笑顔で手を振った。昨季も単身赴任でプレー。2年目も離ればなれとなっていた家族に目を潤ませた。ザック・ニール投手には、キアナ夫人が1月に誕生した長女ブレイリンちゃんを抱っこしながら「早く一緒に東京で過ごしたいけど、それまではあなたとライオンズの幸運を祈っているわ」と話しかけると、パパは何度も涙をぬぐった。

来日1年目のマット・ダーモディ投手は、西武入りが決まった直後の1月に結婚を決断。日本で一緒に暮らすためだったが、新婚生活は遠距離でのスタート。それでも夫人は愛犬のマックスとともに「ゴー、ライオンズ!」と、気丈に振る舞った。コーリー・スパンジェンバーグ内野手は夫人と長女の他に親族や友人らが次々と登場。大応援団がエールを送った。5選手では来日最長のエルネスト・メヒア内野手は、長男が西武のユニホームを着用し「日本でお父さんと一緒に暮らしたい」。ちなみに愛犬の名前はサクラ。日本愛が詰まっていた。

わずか数分の中に、それぞれ違ったバックボーンがかいま見え、愛にあふれたビデオレター。発案者は球団通訳の町田義憲、小林俊太郎、久住泰平の3氏だった。誰よりも近くにいるからこそ、外国人選手らの気持ちが分かる。時差があるため、デーゲームの朝やナイター後に、母国にいる家族らと電話する姿を見ていた。今でこそ、いつでもテレビ電話が可能だが、その寂しさはそう簡単には埋められない。

久住通訳は「我々通訳としてもできることが限られています。通訳の私たちが彼らの家族の代わりをすることはできませんが、のちのち振り返った時に、本人たちにとって思い出になるのではないかと思いました。このような状況を多くの方に知っていただき、いずれ彼らの家族が来日できるような状況になるきっかけになれば、この上ない喜びです」。その気持ちが、今回のサプライズへとつながった。

動画は球団公式YouTubeチャンネル(youtu.be/YsOg)で閲覧可能。是非1度ご覧下さい。【西武担当=栗田成芳】